競艇の優勝戦における枠番は、一般的に準優勝戦の順位で決定される。
予選順位が1位〜18位までの選手を選抜して準優勝戦を3レース行い、準優勝戦の1位と2位が優勝戦に駒を進めることができる。
しかし、準優勝戦はある意味、一発勝負だ。それに比べて、予選の順位はもっと多くのレースを走った結果で決まる。
どちらが優勝戦の結果に及ぼす影響が大きいのか、検証しなくては結論は出せないだろう。
先日、ひろなおとさんよりコメントをいただいた。準優勝戦の結果が1−2、1−2、1−2の時の優勝戦と、1−2、4−1、5−1の時の優勝戦では、2枠、3枠の予選順位が低いため、1−2よりも1−4、1−5の方が出やすくなるのでは? というご指摘だ。
全くごもっともなご指摘だと思うので、今回はそれを検証してみたいと思う。
競艇の優勝戦で枠番が決まる仕組み
まず、一般的な準優3レース制と呼ばれる競艇の優勝戦の枠番の決め方について復習しておこう。(ちなみに、過去3年間の準優3レース制のシェアは8割)
競艇は6日間開催だとすると、1日目〜4日目が予選、5日目が準優勝戦、6日目が優勝戦となるのが一般的だ。
準優勝戦は通常3レース行われる。予選の成績の順番で1位〜3位が1枠、4位〜6位が2枠といったように、予選の成績が良い順番に良い枠を割り振られる。
表にすると、下表のような感じになる。
1枠 | 2枠 | 3枠 | 4枠 | 5枠 | 6枠 | |
---|---|---|---|---|---|---|
a | 1位 | 4位 | 7位 | 10位 | 13位 | 16位 |
b | 2位 | 5位 | 8位 | 11位 | 14位 | 17位 |
c | 3位 | 6位 | 9位 | 12位 | 15位 | 18位 |
(ただし、枠番は順位で決まるが、同じ枠内であれば、レースa、b、cのどのレースになるかは番組を作る人の采配にもよる)
優勝戦の枠番は、準優勝戦で1着だった選手が1〜3枠に割り当てられ、準優勝戦で2着だった選手が4〜6枠に割り振られる。
内枠3選手は予選順位が良い選手から1号艇、2号艇と割り振られてゆく。外枠も同様だ。
疑問点
この方式で優勝戦を行う場合、準優勝戦で6−1、6−1、6−1という結果が出た場合、どうなるだろうか?
予選の成績が良い選手が外枠に入り、予選の成績が悪い選手が内枠に入る優勝戦が行われることになるのだ。内枠が予選順位16位〜18位、外枠が予選順位1位〜3位の配置になる。
準優勝戦の結果が1−2、1−2、1−2で決まった時よりも、6−1、6−1、6−1の時の方が、内枠が勝つ確率が低くなりそうだ。
対象データ
過去3年間に行われた優勝戦2250レースの中から準優3レース制の1781レースを対象とする。
準優2レース制や4レース制、準優戦なしの優勝戦はざっくり除外した。
準優勝戦枠番別1着割合
まず最初に、準優勝戦で1着になった枠番を確認してみよう。
準優勝戦の3レースを合計した集計結果だ。
枠番 | 1着率 |
---|---|
1号艇 | 67.12 |
2号艇 | 13.57 |
3号艇 | 7.94 |
4号艇 | 5.95 |
5号艇 | 3.61 |
6号艇 | 1.82 |
1枠が1着になる確率は7割!
その節で調子が良い選手が1枠に入るので当然といえば当然だが、あまりにも高い。
6号艇が1着になる確率は2%弱。2号艇でも13%だ。
これはもう、冒頭の疑問自体を持つ必要がないレベルかもしれない。
ちなみに、同じ節の準優3レースで1度も1号艇が勝たなかった割合を計算してみたのだが、3.93%だった。
優勝戦で予選下位が何艇内枠に入るか
次に、同じ節の準優勝戦3レースで、4号艇〜6号艇が1着を取ったレースが同時に何レース発生したかの割合を見てみよう。
準優勝戦の結果が1−2、4−1、5−1であれば、予選下位の2艇が内枠に入ることになる。
一方、1−4、1−2、1−2であれば、予選下位の艇が内枠に1艇も入らない。
結果は下表のとおりとなった。
外枠が入った数 | 割合 |
---|---|
0 | 70.24 |
1 | 25.66 |
2 | 3.82 |
3 | 0.28 |
ひろなおとさんが指摘してくれたケース、つまり予選下位の選手が内枠に2艇入るケースが発生する確率は3.8%。
思った以上に少ないサンプル数だ。
優勝戦のサンプル数自体も少ないので、ちょっと集計するのは無理かもしれない。
予選下位の選手が3枠に入った時の連対率
仕方がないので、準優1枠〜3枠の選手を予選上位、4枠〜6枠の選手を予選下位として、優勝戦で内側に予選下位の選手が入ったレースと入らなかったレースを比較してみよう。
これだと、サンプル数は下位選手なしが1251件、下位選手ありが530件あるので、割とマシになる。
下位選手が内枠に入った(準優勝戦で4枠〜6枠の選手が1着を取った)ケースと、下位選手が入らなかったケースで、枠番別1着率を計算した。
下位選手なし | 下位選手あり | |
---|---|---|
1号艇 | 67.63 | 63.40 |
2号艇 | 11.11 | 11.13 |
3号艇 | 9.19 | 7.74 |
4号艇 | 7.35 | 10.57 |
5号艇 | 3.36 | 4.15 |
6号艇 | 1.36 | 3.02 |
予選下位選手が内枠に入った場合は、3号艇の1着率が低くなって、4〜6号艇の1着率が上がっている。
サンプル数的に微妙な差ではあるが、この傾向は、予選で調子が良くて、準優勝戦でたまたま1着を取れなかった選手が優勝戦で逆転勝利している、と説明できそうだ。
考察
節を通して調子が良い(機力も込みで)選手はたとえ準優勝戦で1位を譲ったとしても、優勝戦では逆転で1着を取る確率が上がるようだ。
ただ、調子が良い選手は準優勝戦も落とすことなく1着を取る確率がかなり高いので、ケース数的には多くない。
もし、予選で圧倒的に調子が良いのに、準優勝戦で1着を逃してしまった選手がいるのなら、優勝戦で狙ってみるのもありかもしれない。
ひろなおとさん、コメントありがとうございました。
集計対象期間:2013年6月1日〜2016年6月30日
レース件数:160932レース ※不成立含む
タダヒロさま
ひろなおとです。素早いご対応ありがとうございました。やはり、予選順位は多少なりとも影響を及ぼしているのであろうと思い、その通りの結果となっていました。今後は、1~3枠が準優1枠1着のみの優勝戦で123,124あたりを中心に舟券は考えてみようかと思っています。
準優つながりで、以下の点もご教授いただければ幸いです。
・準優戦日の準優選手の前走成績です。
準優進出選手なのだから、強いだろうと思って舟券を購入したら、まったく攻めずに4着に終わった経験を持っています。当然、選手ですから賞典除外になるような行為はできないでしょうが、素人が見てもレースをせずに、完走のみを目指したレースとしか見えませんでした。
感覚的には、1枠になった選手は普段よりも1着率が高いイメージですが、4枠以降になるとさっぱり働いていないイメージがあります。統計的に見た場合、コース別に成績の変化が見れたら、今後の舟券選択に役たてたいと思います。
もし、この企画が面白いと思われましたら、いつでもよろしいのでご対応をお願いしたいと思っております。長文で失礼しました。
コメントありがとうございます。”準優戦日の準優選手の前走成績〜”のくだりは、準優勝戦の日に2回走りで前半レースに外枠をあてがわれると、準優当確だから露骨に勝つ気がないレースをする選手がいる、ということでしょうか? 気づかずに買ってしまうと腹が立ちますが、強いくせに連に絡む気がない強い選手が割り出せれば、回収率アップにつながるかもしれませんね。さすがに個別選手まで特定するにはサンプル数が足りないでしょうが。準優当確選手の前半レースを解析するのは面白そうなので、次回以降、テーマとして取り上げてみたいと思います。STあたりは露骨に差が出るかもしれません。というか、ルール上、前半レースでフライングしたら、準優勝戦は欠場なのか、他の選手がくり上がりなのか、どうなるんだろう? 選手がいつ、どれくらい手を抜く(安全策を取るのか)のかは、面白いテーマだと思います。ネタの提供、ありがとうございました。
ルール上は準優勝戦に出場です。ただし、賞典除外なので準優戦でもまったく力は出しません。先日、前走でFを出した選手は準優戦1枠で凹み、連には絡みませんでした。
なるほど、出走はするけど、賞典除外ですか。それはやる気をなくすでしょうね。そんな選手が意地で1着を取ったら笑えます。ありがとうございました。