競艇では開催ごとに一般的に予選、準優勝戦、優勝戦の流れを踏んで行われる。
(短期開催だと準優が行われなかったり、W優勝戦などというケースもあるが)
優勝戦、準優勝戦はその節でトップクラスの成績を残した選手しか出場できない。すると、玉石混交の予選とは、レースの性質が若干異なると考えられる。
では、具体的にどう違うのか?
というわけで、今回は過去3年間のデータを使って、統計的に比較してみたい。
ちなみに、以前、優勝戦のデータを分析したことがあるが、アクセス解析を見ると優勝戦の出目データを知りたい人が結構いるようなので、今回は出目データも掲載することにする。
方法
レースを優勝戦、準優勝戦、予選の3種類に分類して比較する。予選が終わった後で優出・準優出できなかった選手が行うレースは一般競争になるが、それも予選に含めて集計した。「予選」は優勝戦・準優勝戦以外のレースと考えて欲しい。
サンプル数は優勝戦が2183件、準優勝戦が5693件、予選が148512件。
決まり手割合
まずは、決まり手の割合を比較してみよう。
優勝戦、準優勝戦はこれまで成績の良かった選手が内枠に入るシステムなので、イン逃げが多くなる。どれくらい多くなるのだろうか?
優勝戦 | 準優勝戦 | 予選 | |
---|---|---|---|
逃げ | 63.67 | 62.43 | 43.37 |
抜き | 6.92 | 7.85 | 9.43 |
恵まれ | 1.97 | 1.11 | 0.76 |
差し | 9.71 | 12.49 | 15.59 |
まくり差 | 8.98 | 7.57 | 13.61 |
まくり | 8.75 | 8.55 | 17.23 |
さすがに優勝戦と準優勝戦では逃げの割合が圧倒的に多い。どちらも60%オーバーだ。まくりやまくり差しが決まりにくくなっている。差しも決まりにくくなるようだ。
明らかに優勝戦、準優勝戦の決まり手は、予選の決まり手に比べて異なる傾向があると言って良いだろう。
優勝戦と準優勝戦の差は微妙だ。同じ傾向にはあるが、若干の違いが見受けられる。サンプル数が若干少ないので、誤差の影響もあるのだろうか。
平均配当金
それでは、配当金はどれくらい違うのだろうか?
優勝戦 | 準優勝戦 | 予選 | |
---|---|---|---|
三連単配当平均 | 8155.02 | 7953.41 | 7533.61 |
三連複配当平均 | 1328.17 | 1288.36 | 1273.93 |
二連単配当平均 | 1914.62 | 1899.08 | 1906.10 |
二連複配当平均 | 955.00 | 926.44 | 960.75 |
なんだか微妙な差だ。三連単と三連複の平均配当金は優勝戦・準優勝戦で高くなっている。しかし、二連単と二連複の差はなんとも言えない感じだ。誤差の範囲かもしれないが、準優勝戦はどちらも一番低くなっている。
出目データ
最後に、二連単の出目出現率を比較してみよう。
1−2から5−6までの出目が、どれくらいのパーセンテージで出現できるかを、優勝戦、準優勝戦、予選に分けて一覧表にした。
優勝戦 | 準優勝戦 | 予選 | |
---|---|---|---|
1-2 | 23.96 | 27.51 | 14.93 |
1-3 | 15.57 | 17.14 | 11.78 |
1-4 | 14.61 | 11.45 | 9.35 |
1-5 | 7.70 | 6.85 | 5.68 |
1-6 | 4.81 | 3.51 | 4.10 |
2-1 | 4.81 | 7.78 | 6.78 |
2-3 | 2.20 | 2.53 | 3.61 |
2-4 | 1.69 | 1.58 | 2.91 |
2-5 | 1.37 | 1.21 | 1.95 |
2-6 | 0.64 | 0.67 | 1.49 |
3-1 | 3.44 | 3.16 | 4.76 |
3-2 | 1.83 | 1.77 | 3.04 |
3-4 | 1.24 | 1.35 | 2.82 |
3-5 | 1.19 | 1.16 | 1.87 |
3-6 | 0.69 | 0.76 | 1.45 |
4-1 | 3.07 | 2.07 | 3.84 |
4-2 | 1.83 | 1.58 | 2.41 |
4-3 | 1.24 | 0.98 | 2.13 |
4-5 | 1.56 | 1.00 | 2.30 |
4-6 | 0.87 | 0.63 | 1.57 |
5-1 | 1.28 | 1.46 | 2.10 |
5-2 | 0.82 | 0.69 | 1.29 |
5-3 | 0.55 | 0.47 | 1.13 |
5-4 | 0.73 | 0.54 | 1.32 |
5-6 | 0.46 | 0.33 | 0.91 |
6-1 | 0.37 | 0.61 | 1.34 |
6-2 | 0.41 | 0.37 | 0.97 |
6-3 | 0.09 | 0.30 | 0.78 |
6-4 | 0.50 | 0.23 | 0.79 |
6-5 | 0.46 | 0.28 | 0.59 |
1頭で決まる確率はやはり、優勝戦・準優勝戦で高くなっている。準優勝戦の1−2出現率は27%。予選と比べて1−2で決まる確率は2倍近い。
優勝戦と比べて、準優勝戦の方が1−2で決着する確率が4%くらい高いようだ。4〜6号艇がヒモになる率は、優勝戦の方が高い。
準優勝戦以上だと、やはりアウトコースが連に絡むのは難しくなる。
まとめ
優勝戦と準優勝戦と予選の差を見てきた。
やはり、優勝戦と準優勝戦では、予選と比べてイン側の2艇が勝つ確率が圧倒的に高くなるようだ。その差、およそ20%。
今回の分析では優勝戦と準優勝戦の差はイマイチはっきりと傾向が出なかった。準優勝戦は必ずしも1着を取らなくとも、2着以内に入れば良いという性質があるので、何かデータに違いが現れると思ったのだが。
もっと深掘りして見なければわからないのかもしれない。
集計対象期間:2013年2月1日〜2016年2月29日
レース件数:160534レース ※不成立含む
優勝戦と比べて、準優勝戦の方が1−2で決着する確率が4%くらい高いようだ。4〜6号艇がヒモになる率は、優勝戦の方が高い。
→ ぜひ確認していただきたいのは、準優勝戦での1着となった選手の枠です。例えば、準優勝戦3Rとも1枠(1コース)が1着の場合、1枠が予選1位、2枠が予選2位、3枠が予選3位となっていると思います。この組み合わせでは、1-2の出現率は高いと思います。
一方、準優勝戦で1レースのみ1-○で決着し、残り2レースが5-1とか4-1とかになった場合、2枠、3枠の予選順位は4枠、5枠よりも悪い結果となっています。このようなケースでは1-4,1-5の出現率が増えると思われます。
優勝戦を統計的に検討していくには、準優勝戦での結果を考慮する必要があると思います。
私も今まで、優勝戦では1-2-3がものすごく出現するものと思っていましたが、上記を考慮しなくてはならないと分かった瞬間に、優勝戦より準優勝戦のほうが出目買いにはあっているのかなと思っています。
私も、統計的手段で予想プログラムを完成させることを夢見ています。
コメントありがとうございます。ご指摘内容、ごもっともだと思います。準優勝戦の結果次第で、優勝戦の枠順は予選順位順とならないケースがあり、それが優勝戦の順位に影響することは十分考えられそうです。もっとも極端な例だと、準優勝戦で6枠がすべて1着を取ると、予選順位16位の選手が優勝戦1枠になる可能性もありますね。深掘りすると優勝戦・準優勝戦の出目確率の差を説明出来るかもしれません。次回以降、準優勝戦の結果と優勝戦の結果に関するデータを分析の対象として取り上げさせていただきたいと思います。”私も、統計的手段で予想プログラムを完成させることを夢見ています。”とのことですが、どんな環境(ExcelやR、あるいはBoatAdvisorなど)を使っている、あるいは使おうとしているのか、興味があります。予想プログラムの開発、ともに頑張りましょう!
どんな環境(ExcelやR、あるいはBoatAdvisorなど)を使っている、あるいは使おうとしているのか、興味があります。
→ Excelのみです。決定木を試みようかと思いましたが、貴兄のほとんど重回帰と同じ結果との記事を読み、速攻でやめました。いろいろな観点から、現在勝率実績を含め、6種のアルゴリズムを組み合わせて総合判断するというスタイルです。1枠1着率>76%まで到達していますが、2着がなかなか困難です。番組編成員の妙技だと思っています。2~4着まで大きな差がないのが大半で、計算で出せる3連単1枚買い的中率は12~13%で、回収率は配当の低さから当然100%を割っています。
今後も楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。なるほど、Excelで分析されてるんですね。Excelはマクロが使えるので、使えない解析手法はないし、最近は色々な機能も実装されているので、かなりのことができると思います。”3連単1枚買い的中率は12~13%”三連単1点買いで12%は相当高い数値だと思います。2着と3着の予想は難しいですよね。決定木と重回帰分析、それと、記事にはしてないのですが、サポートベクターマシンも試してみましたが、やはり全く同じ回収率になりました。多分、全国勝率だけが元データになると、手法を変えても控除率には勝てないのかもしれません。コース別1着率とか平均STとか、もう少し細かいデータを大量に使わないとダメな気がします。あるいは、レースを傾向別にクラスタリングして、クラスタごとにアルゴリズムを切り替えるとか。お互いに頑張りましょう!
的中率は、投票してはいけないレースを除いてます。
基本、大本命となり、配当は高くても700円程度で回収出来ない状況です。
そんな感じに落ち着いちゃいますよね。わかります。やはり、的中率を高くするのではなく、オッズの歪みを探すしかないのかもしれません。
準優勝戦の1コース1号艇の単勝率が62%だそうですが、肌感覚では80%は逃げてる気がしてましたが、データー数字の方が正しそうです。
自分は、いつも、準優勝の121点勝負なので、もう少し工夫すれば、プラスに出来るかも知れません。
コメントありがとうございます。
この記事では決まり手で集計しているので、1号艇が1着になる確率で言えば、もう少し高かった気がします。抜きで1号艇が勝つケースもあるので。
1−2の1点勝負はこれまでの解析結果から考えると、かなり期待値の高い買い方だと思います。
回収率をプラスにできるよう、互いに頑張りましょう!