風が吹けばインが逃げるか?
競艇において、追い風が吹けばイン有利、向かい風ならアウト有利であるというのが通説だ。
アウト勢が1マークでふくらみやすくなる、インが加速しやすいなどなど、様々な根拠がまことしやかに語られている。
今回はこの通説が本当かどうかを分析、検証してみたい。
集計方法
ボートレースオフィシャルサイトで公開されているデータでは、風向きは8方向に分類されている。(北、北東、東、南東、南、南西、西、北西の8方向)
それと、無風の合わせて9種類の状態が考えられる。
今回の分析では、分析対象のレース場が北向きの場合、北西、北、北東の3種類を追い風、東を右横風、南東、南、南西の風を向かい風、西を左横風として、イン逃げ率を計算した。
風向き別イン逃げ率
風向き | イン逃げ率 |
---|---|
右横風 | 44.861 |
向い風 | 43.883 |
左横風 | 43.280 |
無風 | 44.030 |
追い風 | 43.123 |
最大でも1%程度の差しかない。これは誤差の範囲内と言っていいだろう。
この集計結果を見る限り、風向きによってインに有利不利が発生しているとは言えない。
風向き別枠番1着率
念のため、風向き別に各枠番の1着率を集計してみた。
風向き | 枠番 | 1着率 | 風向き | 枠番 | 1着率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
右横風 | 1 | 47.399 | 無風 | 1 | 45.83 | |
2 | 16.089 | 2 | 15.947 | |||
3 | 13.918 | 3 | 13.635 | |||
4 | 11.889 | 4 | 12.647 | |||
5 | 6.345 | 5 | 7.21 | |||
6 | 4.358 | 6 | 4.73 | |||
風向き | 枠番 | 1着率 | 風向き | 枠番 | 1着率 | |
向い風 | 1 | 46.735 | 追い風 | 1 | 45.231 | |
2 | 17.648 | 2 | 15.805 | |||
3 | 13.617 | 3 | 14.045 | |||
4 | 11.732 | 4 | 12.806 | |||
5 | 6.204 | 5 | 7.163 | |||
6 | 4.064 | 6 | 4.95 | |||
風向き | 枠番 | 1着率 | ||||
左横風 | 1 | 45.781 | ||||
2 | 16.052 | |||||
3 | 14.157 | |||||
4 | 12.742 | |||||
5 | 7.075 | |||||
6 | 4.192 |
こちらも同じく、大きな差は見られない。
別に差しが決まりやすいということも、まくりが決まりやすいということも無い。
風の強さとイン逃げ率
それでは、風速別にイン逃げ率を計算したらどうなるだろうか?
風速 | イン逃げ率 |
---|---|
0 | 43.569 |
1 | 48.190 |
2 | 45.498 |
3 | 43.561 |
4 | 41.624 |
5 | 40.347 |
6 | 36.536 |
※風速6m以上はサンプル数が少ないため、6mとして集計
こちらははっきりとした傾向が現れた。
風が強いほど、インに不利となっている。
最大で10%の差が見られた。
無風よりも1m程度の風が吹いていた方がイン有利のようだ。
・・・なんでだろう?
考察
今回の分析の結論としては、
・風向きはレース結果に影響を及ぼさない
・風が強いほどインに不利、1m程度の弱風がインにとってベスト
となった。
風向きに関しては通説に反する結果になった。
風向きの影響が全く無いというのは考えにくい。
仮説として思い浮かぶのは2つ。
・モーターの性能が上がって風の影響を受けにくくなった
・有利不利は存在するが、選手の技量でカバーできる範囲である
あるいは、もっと限定的なところのみで影響するのかも知れない。
※2016年2月14日追記
風の影響によるスタートタイミングを分析したので、こちらも合わせてお読み下さい
集計期間:2012年10月1日〜2015年10月30日
レース件数:161695レース ※不成立含む